ESの文章作成前に整理すべき3つのこと

公開日:2021年12月31日

採用側の心に響くわかりやすい文章を作成するには。

 

今回でESの作成をテーマにしたものは最終回となります。

 

以下のエアラインのESで出題された設問を題材に文章を作り始める前に整理すべき3つのことをお話しします。

 

(設問)コロナ禍の厳しい航空業界の状況をあなたはA社の社員としてどう乗り越えますか(改題)(500字)

 

航空業界に関わる設問で業界研究や企業研究も必要なため難問の部類だといえます。

 

この設問の文章を作成する上で、事前に整理しておくことは、以下の3つです。

1.採用側の設問の意図を把握する。

2.設問の問いを正確に捉え、書く内容を割り出す。

3.文章構成を確定させる。

 

この3つを事前に固めた上で文章を作成していかないと、採用側に伝えたいことが漏れたり、読みづらくさせたり、採用側の心に響かない内容のものになりがちで、大幅な手直しが必要なため完成までに相当の時間を要してしまいます。

 

1.採用側の設問の意図を把握する。

 

まず、設問における、採用側の設問の意図を把握します。2つあります。

 

①航空業界の現況を把握した上で企業研究からA社の特性が理解できているか。

②A社の社員として、企業に貢献するために何がしたいか、具体的に何に取り組んでいくかがイメージできているか。

 

この2つが読み手に伝わる内容にしていく必要があります。

①から、企業研究としてA社の企業サイトやサイト内の統合レポート等に目を通し、航空業界の現況、A社の特性、他社比較でのA社の特長などを整理しておきます。

②から、①の情報から自分がA社の社員として何に取り組みたいかを具体的に整理していく必要があります。

 

2.設問の問いを正確に捉え、書く内容を割り出す

 

設問の問いから「コロナ禍の厳しい航空業界の状況」という前提をふまえて作成していることを内容に示していく必要があります。

 

そこで、設問の回答の冒頭は、設問の内容を「オウム返し」にするように「コロナ禍の厳しい航空業界の状況を乗り越えるために私は・・・」という書き出しにしていきます。

 

次に、「コロナ禍の厳しい航空業界の状況」とは、どういう状況なのかをQ&A方式で整理して、何をテーマに書いていくかを割り出していきます。

 

「コロナ禍の厳しい航空業界の状況で、私は何に取り組べきか。」

Q)コロナ禍の航空業界とは、どういう状況か?

A)コロナ禍による渡航自粛で旅行需要が激減し、国内線の運航率は6割程度と減ってしまった。しかし、ワクチン接種の普及や治療薬の承認等もあり、今後国内線の運航率は90%台に戻るとの予想がある。

 

Q)そうした航空業界の状況でA社はどうしていったらよいか?

A)コロナ禍前の搭乗率に戻すべくA社の特性に応じた集客策を図ってはどうか。

 

Q)A社の特性に応じた集客策とは?

A)それは、A社を利用されるお客様のタイプによって分かれるのではないか。

 

Q)A社を利用されるお客様のタイプは?

A)A社は北海道の都市と本州の都市とを結ぶ路線をもつ航空会社であり、北海道を離発着するお客様であること、また、A社を普段よく利用される既存顧客や利用のない新規顧客と3つのタイプに分けることができる。

 

Q)それでは、そうした3タイプのお客様に対して、A社の特性に応じた集客策は?

A)北海道を離発着するお客様だから旅行需要を北海道に向ける施策や既存顧客は他社に移らないよう囲い込み、新規顧客はリピーターづくりに努めることなどがある。

 

Q)そのためには、あなたはA社の社員として、具体的に何に取り組みたいか?

A)旅行需要を北海道に向けるためにはAAA、既存顧客の囲い込みのためにはBBB、新規顧客のリピーターづくりのためにはCCC。

 

上記は一例ですが、設問の内容や条件からQ&A方式などで整理をした上で、書いていく内容を割り出していきます。

上記の例では、お客様をタイプ別に3つのことを整理していますが、ESの文字数によっては整理したものを全て盛り込む必要はなく、その場合は、A社の顧客として一番多いタイプや自分が一番しっかりと書けそうなものを例えば1つ、2つに絞り、残りは面接用にとっておいたりします。

 

3.文章構成を確定させる。

 

文章構成を考えます。

文章構成の冒頭は設問に対する結論からなので、設問の内容を盛り込んだ「結論」を書いていきます。

 

冒頭の書き出しは、前述した通り、「コロナ禍の厳しい航空業界の状況を乗り越えるために私は○○○○に取り組みたい。」としていくとよいでしょう。

 

そして第2文は、冒頭の結論に対する「理由」か、または、結論に対する「詳細」のいずれかを書いていきます。

今回の設問の場合、お客様を3つのタイプに分けていて内容が豊富なので、第2文から、その「詳細」を書き始めるとよいです。

 

以下は、今回の設問に対する文章の全体構成の一例です。

①設問に対する「結論」

②①に関する内容の「詳細」

③①の「結論」を繰り返して、文章をしめる

 

以上のように、ESの設問に対しやみくもに文章を書き始めるよりも、作成前に固めておくべきものを整理してから書き始めると効率よく完成させることができます。

 

それでは、以上のような事前整理をした上で、今回の設問の回答例を示します。

 

(設問)コロナ禍の厳しい航空業界の状況をあなたはA社の社員としてどう乗り越えますか(改題)(500字)

 

【お客様に応じた集客策で、貴社のブランド力を高めて参ります】

コロナ禍の厳しい状況を乗り越えるために私は、貴社のブランド力を高める3つのことに取り組みます。1つは、旅行需要を「北海道」に向けるための施策です。社内の提案活動を活用して、私も、貴社の強みである「北海道」に特化した機内サービスやイベントを企画したいです。また、北海道の自治体や大学と連携して、A社ブランドを強化する商品開発や観光プログラムの作成にも係わりたいです。2つめは、既存顧客の囲い込みです。貴社は、新型コロナ感染防止に向けた取り組みをリーフレットやサイトで紹介していますが、機内や空港での感染防止に向けた社員の取り組みを紹介する動画を作成して貴社の感染防止策と安全性を大々的にアピールしていくことで、貴社の常顧客のお客様に「安心や信頼」を感じて頂きたいです。3つめは、貴社の客室乗務員として、お客様の期待を上回る接客をすることで新規顧客のリピーターづくりです。そのために私は、機内でお客様に驚きや感動を与える接客に努めて参ります。そして、この難局を乗り越えるために、社員一丸となって、A社のブランド力を高めることに尽くして参ります。(500)

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