【実践編】自己PRの添削事例(2)

公開日:2021年11月30日

「文章構成」では、できるだけ「明確な目標」を入れていきます。

 

自己PRの添削を通じて、作成ポイントを解説する第2回目です。

 

まず、読み手の心に響きやすくなる自己PRの作成ポイントを振り返ります。以下の4点は、私が自己PRを添削する際に確認する項目でもあります。

①自己PRの採用側の「設問の意図」を捉え、内容に盛り込む。

②読み手が読みやすい「文章構成」にする。

③読み手が理解しやすい「文章の流れ」にする。

④読み手がイメージしやすい「表現内容」にする。

 

では、次の事例をご覧ください。

 

事例(添削前)

私の強みは、ドラッグストアのアルバイトで養った「チーム貢献力」です。

チェーン展開をしているドラッグストアで、年1回全店舗を対象に品質調査があり、私の店舗の評価は最下位で全員が落胆しました。

その悔しさから、毎日お客様に率先して挨拶する挨拶当番を決めることを提案し採用され、笑顔と共に元気の良い挨拶を率先して行うことに励みました。

また、お客様のご要望をくみ取り丁寧なご案内に徹することを心がけ、積極的にお客様にお声掛けすることに努めました。

その結果、従業員全員のサービスマインドが徐々に向上し、リピーターのお客様も増え、1年後の店舗品質調査では、大幅に評価が上がりました。

 

私が自己PRを添削する際の確認項目を以下に順にみていきます。

 

まず、自己PRの採用側の「設問の意図」が、内容から読み取れるかをみます。

①どのような強み(能力)を養ってきたか?

⇒チーム貢献力。

 

②その養った強み(能力)は、企業で貢献できる程度の強みか?

⇒「挨拶当番を提案し採用されたこと、積極的にお客様にお声掛けすることに努めた結果、店舗品質調査で高評価を得ることができた」とチームに貢献したことは伝わりますが、そのチーム貢献力が、どの程度のものかまでははっきりしません。

 

次に、文章構成が読み手にとって分かりやすいかをみます。

「結論=強み(能力)」→「課題」→「取り組んだこと」→「結果」と、読みやすい構成で文章が作成できていますが、「目標」が欠落しているため、それ以降の「取り組んだこと」→「結果」の内容が、読み手の心に響くまでには至っていません。

 

そして、読み手が、理解しやすい文章の流れになっているかをみます。

ドラッグストアのアルバイトをテーマに、店舗の品質向上に向けたエピソードとしていて、1つのテーマで1つのエピソードで作成できています。また、話の内容が唐突に変わったり、話の内容が行ったり来たりしていないので、読み手に取って書かれた内容が理解しやすいです。

 

最後に、読み手がイメージしやすい表現内容かをみます。

読み手がイメージしやすいとは、読み手が頭の中でその状況がイメージできる表現内容かということです。例えば、「果物がいくつかあります。」という文章では抽象的な表現内容でイメージしづらいです。読み手がその状況をイメージできるようにするには、「どこにその果物はあって、果物はどんな種類で、いくつあるか」等の情報が必要です。そこで、「居間の机の上に、美味しそうなリンゴが3つあります。」と、読み手がイメージしやすいよう具体的な表現内容でしっかりと書いていきます。

 

それでは、事例で私が気になったところを示します。

 

事例(添削前)

①私の強みは、ドラッグストアのアルバイトで養った「チーム貢献力」です。

⇒「チーム貢献力」との強みは、とりあえず一旦置いておきます。その理由は、文章構成に「目標」が追記され、「目標達成に向けて工夫・努力したこと」の内容が詳しく書かれることで、より内容に適した新たな強みが出現するかもしれないからです。

 

②チェーン展開をしているドラッグストアで、年1回全店舗を対象に品質調査があり、私の店舗の評価は最下位で全員が落胆しました。

⇒店舗品質評価のどこが最下位であったか、そうなってしまった原因や理由を盛り込むと、この後につながる「目標」が明確になります。

 

③その悔しさから、毎日お客様に率先して挨拶する挨拶当番を決めることを提案し採用され、笑顔と共に元気の良い挨拶を率先して行うことに励みました。

⇒文章構成としては、上記②の「課題」を改善していくための「目標」の箇所です。最下位評価からどう改善していくのか、明確な「目標」を入れることで、その後に続く「目標達成に向けて工夫・努力したこと」の内容がしっかりと書けるようになり、そこから「チーム貢献力」の程度(レベル)が、読み手に伝わりやすくなります。

 

④また、お客様のご要望をくみ取り丁寧なご案内に徹することを心がけ、積極的にお客様にお声掛けすることに努めました。

⇒「目標達成に向けて工夫・努力したこと」が、この経験を通じて養った強みにつながります。この経験から養った強みとして「チーム貢献力」が適しているのであれば、チーム貢献向けの表現内容に変えていきます。

 

⑤その結果、従業員全員のサービスマインドが徐々に向上し、リピーターのお客様も増え、1年後の店舗品質調査では、大幅に評価が上がりました。

⇒文章構成の「結果」にあたる箇所です。文章構成の「結果」は「目標」に対する「結果」であることから、「目標」が加わることになり、「結果」の表現内容を見直していきます。

 

以上の点を加味して添削したものを以下に紹介します。添削前の文章と比較してみてください。

 

事例(添削後)

私の強みは、ドラッグストアでのアルバイトで養った「チーム貢献力」です。

チェーン展開をしているドラッグストアで、年1回全店舗を対象に品質調査があり、私の店舗の評価は最下位で全員が落胆しました。

特に指摘を受けた項目は、「従業員のサービスレベルの低さ」でした。

その悔しさから、店舗品質を高めるために従業員全員が一致団結して品質改善に取り組み、全国で20店舗しか選ばれない「優秀店舗賞」の獲得を目標に掲げました。

そこで、お客様にお礼の気持ちを届けたいとの思いを全従業員で共有したいと考え、従業員一丸となり、毎日お客様に率先して挨拶する挨拶当番を決めることを提案し採用され、笑顔と共に元気の良い挨拶を率先して行うことに励みました。

また、お客様のご要望をくみ取り丁寧なご案内に徹することを従業員全員で心がけることを店長に働きかけ、お客様のご様子をしっかりと観察し、ご要望を推測した上で積極的にお声掛けすることに努めました。

こうしてチーム一丸となって取り組んだ結果、従業員全員のサービスマインドが徐々に向上し、笑顔で挨拶を返してくれるお客様が以前より増え、1年後の店舗品質調査では、「優秀店舗賞」は逃したものの大幅に評価が上がり、従業員全員のモチベーションアップにつながりました。

 

自己PRに、明確な「目標」を入れることで、「目標達成に向けて工夫・努力したこと」や、その経験から養った「強み」が生きてきます。

 

いかがでしたでしょうか。

仮に、自己PRに予定しているエピソードで、その当時、明確な「目標」を置いていなかった場合や、「目標達成に向けて工夫・努力したこと」として大したものが浮かばない場合は、これから、何か、明確な「目標」を置いて、その「目標達成に向けて工夫・努力」をしていき、新たにこれから自己PRのエピソードとなる経験を積んでいくとよいです。

 

次回は、文章作成に役立つ自己PRの添削の実際の最終回です。

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