【実践編】自己PRの添削事例(1)
公開日:2021年11月27日
採用側の視点から自己PRの評価ポイントを説明します。
私のレッスンで自己PRの添削をどのように行っているか事例を挙げて紹介し、採用側の評価ポイントを説明します。
まず、事例1をご覧ください。
事例1(添削前)
私の強みは、高校の剣道部で養った「察知力」です。
剣道部には女子部員が3人しかいなく、5名の選手で競う団体戦では、1人が2人を相手に勝利することが求められました。
そこで団体戦での勝利を目指して相手の動きを察知して打ち込む練習に努めました。
また、実戦形式で、インターバルを交えた打ち込みを続けることで辛い地稽古に励み、持久力を養いました。
その結果、団体戦で2人に連勝する回数が増え団体戦で勝利することができました。
ここで培った「察知力」は、現在では、大学でのゼミナール活動を通じて、より磨きをかけています。
自己PRの添削方法も、ガクチカの場合と基本同じです。というのも、自己PRとガクチカは、採用側の「設問の意図」や、その「設問の意図」を読み手に伝えやすくする文章構成がほぼ同じだからです。そのため、同一企業のESで、自己PRとガクチカの両方が設問となることは稀です。新卒採用のESでは、一般的にはガクチカが問われ、その他の設問として、自己PR系である「これまでの失敗や挫折経験から何を学びましたか。」などの設問となります。
それでは、私が、自己PRの文章を添削していく際のポイントを示します。
まず、自己PRの採用側の「設問の意図」が、内容から読み取れるかをみます。
①どのような強み(能力)を養ってきたか?
⇒察知力。
②その養った強み(能力)は、その企業で貢献できる程度の強みか?
⇒「企業に貢献できる程度の強みか」読み手に伝えていくには「目標達成に向けて工夫・努力したこと」で、「自分の考えや思い」を交えて、どれほどの工夫・努力をしたかをしっかり書かないと企業に貢献できる程度のものかまでは伝わりません。事例1の内容は、やや事実状況の説明文に近い内容であるため、この経験で養った「察知力」が、企業で貢献できる程度のものかまでは、読み手は判断がしづらいです。
次に、文章構成が読み手にとって分かりやすいかをみます。
事例1は、「結論=強み(能力)」→「状況(課題)」→「目標」→「目標達成に向けて努力・工夫したこと」→「結果」→「しめ」の流れで、比較的わかりやすい文章構成で書けています。
そして、「目標達成に向けて努力・工夫したこと」の内容から、その強み(能力)の程度が読み取れるかをみます。
事例1の場合、前述の通り、その当時のことを振り返って、さらに詳しく書いていく必要があります。
以上のことから、事例1で私が気になったところを示します。
事例1(添削前)
①私の強みは、高校の剣道部で養った「察知力」です。
⇒このままでもいいでしょうが、「察知力」だけだとやや漠然としているので、どのようなことを察知することができるかまで書くとさらによくなります。
②剣道部には女子部員が3人しかいなく、5名の選手で競う団体戦では、1人が2人を相手に勝利することが求められました。
⇒問題ありません。
③そこで、団体戦での勝利を目指して、相手の動きを察知して打ち込む練習に努めました。
⇒文章構成で「目標」にあたる箇所です。「団体戦での勝利を目指して」との表現は、「目標」という表現に入れ替えるとよいです。
後半の「相手の動きを察知して打ち込む練習」は、具体的に何を察知してどう打ち込むのかまで詳しく書く方が、どの程度の察知力かが読み手に伝わりやすくなります。
④また、実戦形式で、インターバルを交えた打ち込みを続けることで辛い地稽古に励み、持久力を養いました。
⇒現在の事実状況の説明文から、こうしたつらい地稽古に励んだ理由(自分の考えや思い)を追記していくことで、目標に向けて頑張ったことを読み手にアピールしていきます。
⑤その結果、団体戦で2人に連勝する回数が増え団体戦で勝利するこができました。
⇒「目標達成に向けて工夫・努力したこと」から、以前と比べて何がどう変わったかを盛り込んで、その結果を書いていきます。
⑥ここで培った「察知力」は、現在では、大学のゼミナール活動を通じて、より磨きをかけています。
⇒自己PRのエピソードが高校時代のことである場合、高校時代から数年経過した現在、その養われた強みはどうなってしまっているか示す上で、こうした一文を入れていくと採用側に、現在でもその強みは生きていると伝わります。ゼミナール活動の何で、その「察知力」が活かされているかまで入れるとさらによくなります。
以上の点を加味して添削したものを以下に紹介します。添削前の文章と比較してみてください。
事例1(添削後)
私の強みは、高校の剣道部で養った相手の考えや思いに気づく「察知力」です。
剣道部には女子部員が3人しかいなく、5名の選手で競う団体戦では、1人が2人を相手に勝利することが求められました。
そこで、1人2勝しチームとして団体戦に勝利することを目標に、打ち込んでくる相手のちょっとした仕草から察知して、相手の次の動きを予測し先回りして打ち込む練習をひたすら繰り返しました。
また、2試合持つ体力をつけるべく、実戦形式で15秒間打ち続け、5秒のインターバルの後、また15秒打ち続ける辛い地稽古に励み、持久力を養いました。
地道な練習をし続け集中力や持久力が養われた結果、団体戦で2人に連勝する回数が増え、念願であったチームとして団体戦で勝利することができました。
ここで培った察知力は、現在では、大学のゼミナール活動でのディベートを通じて、より磨きをかけています。
次回も、文章作成に役立つ自己PRの添削の実際について事例を挙げて紹介します。